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小噺なんかをちまちまと
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一応黒子女の子設定ですのでご注意です><

中学に入ってから最後のクラス替えで、黒子と同じクラスになった。
黒子と言えばあり得ないくらい影が薄くて三度の飯より読書で、バスケ部のマネージャーである。
仕事はきちんとするし、それ以上の事(例えば俺たちの体調管理とか)だってこなしてしまうし、たまに朝早く体育館に足を運ぶとボールを磨いている姿を見る。
監督もそんな黒子の事を信頼出来るらしく、部活中に次の日の練習メニューを一緒に考えている事も多い。
本当に出来るマネージャーだった。
去年黄瀬が入部した際にマネージャー志望の女子が増えたが比べようもないくらいだ。
さて、そんな黒子だが俺はまったくと言っていいほど話したことがない。勿論メニューや体調管理など必要最低限の事は話しているが、雑談をした記憶が無いのだ。
…黒子が話しかけ難い雰囲気をしているわけではないのは、はっきり言っておく。
(寧ろ俺の方が話しかけ難いのかもしれない)
そんな事を考えていた、ある晴れた日。
「今日の練習は体育館が使えないので練習はありません。新入生歓迎会の装飾があるので、全面禁止だそうです」
「マジっすか!じゃあじゃあ黒子っち一緒に帰ろう!」
午後の授業が終わり帰る支度をしていると突然黄瀬が教室にやってきた。本当に練習が無いのか訊ねに来たらしい。
最後の一言は余計なのだよ。
「すみません、ボク今日は日直なので一緒に帰れません。代わりに緑間君と帰ってください」
「は?」
突然自分に話題がまわってきた。
「えぇー?わかったっす……」
「…何故そこまで嫌そうにする」
嫌そうにしている黄瀬を殴りたくなる衝動にかられかつつもなんとか抑え、仕方なく一緒に帰る事になった。
黄瀬との会話は、意外と楽しかった。
あいつの本業はモデルだから、その業界特有の裏話が聞けるのは滅多に無いことだ。
話はそこから部活の事だったり授業の事だったり黒子の事だったり………
……黒子?
「去年のテスト、黒子っちが古典教えてくれたお陰で80取れたんすよ」
「ほう」
アイツは見るからに文系が得意そうだ。
何故黄瀬がそんなに黒子に世話になっているのかが気になったが、確か二人は二年の時クラスが同じだった事を思い出した。
そのあとも黄瀬は口を開くたび黒子の事を話し、別れる時までずっと話していた。
俺は何故だか気分が優れなくて、熱でもあるのかと思い込み熱を計ったら、普段と変わらない平熱。
それでも不思議ともやもやした気分だったので夕食まで寝てる事にした。


翌日、何となく黒子と話したくなった。
黄瀬があんなにあいつの話ばっかりしたせいだろう。
不快な気分は残ったままだが、気晴らし程度に話せば治るかもしれない。
「去年、黄瀬と同じクラスだったらしいな」
「はい」
昼休み、窓際の席で一人読書に耽っている黒子に声をかけてみる。
黒子といえば、それが何か?という顔でこちらを見た。読書を邪魔されて不機嫌、という訳ではなさそうだ。
「監督に頼まれてあいつを部活に誘った、というのは本当か?」
「そういえば、そんなこともありましたね……緑間君、聞きたいんですか?」
「何故そうなる」
「顔に出てますよ」
「………」
俺の無言を肯定と取ったのか(実際俺は言い当てられてしまったので黙ったのだが)
、黒子は話してくれた。
緑間君から話しかけてくれるの、初めてでしたね、とか言いながら。
そういえばそうだったか。
「黄瀬君にバスケ部に入らないか聞いてみたら、仕事があるから無理って言われ
ました」
「まぁ、そうだろう」
「で、監督にそう言ったら、今度は監督から黄瀬君に頼んだみたいです。その時黄瀬君はやっぱり断ったらしいんですけど、練習を見るだけでもって言われちゃって、じゃあそれくらいならって思ったようです」
「随分上から目線なのだな…」
「僕も思います。それで、練習を見に来た黄瀬君が何を思ったのか翌日いきなりバスケ部に入るって僕に言ってきて、入部する事になったんです」
「随分と急ではないか」
「まぁ、黄瀬君ですから」
「あいつが練習を見に来た日、何か特別な事でもしてたか?」
「確か……練習終わったあとに僕達皆で緑間君にプレゼント渡した気がします」
「プレゼント……?」

『緑間君、誕生日おめでとうございます』

「…そうか、あの日か」
あの日は俺の誕生日だった。
部員がプレゼントくれる中で、本当は嬉しかったのに素直に喜べなかったのを覚えている。
「もしかしたら、誕生日に部員が祝ってくれるからって理由かもしれませんね」
プレゼントには困ってなさそうですけど、と最後に付け加えた言葉に納得してしまった。
そこまで話すと長い休み時間の終わりを告げる鐘が鳴り、仕方なく席に戻った。
あの日の誕生日は、いつになく嬉しかった記憶がある。
花をくれた同級生や先輩もいて、確か黒子もその内の一人だった気がする。
『誕生日おめでとうございます』
普段ほとんど無表情で淡々としているあいつが小さめの花束を手に、本当に少しだけ恥ずかしそうにしている姿が可愛くすら思えたのだ。
「かわいい…」
もしあの姿を黄瀬も見ていたら、どう思ったのだろう。
可愛いと、思ったのだろうか。
いや、それ以前に可愛い?俺があいつの事を?
ただのマネージャーじゃないか、読書が好きで監督にも信頼されていて話したことなんて殆んど無くて(さっき話していたが)黄瀬がやたらべったりしていて、いや黄瀬だけじゃない残り3人もそんな感じで、恋愛の対象としてなんか、決して、
「…………まさ、か…」
途端に思考が停止した。
そんなわけあるはずない、と思っても何度も何度も窓際の彼女を目の端に捉えようとする。
それじゃあ俺は、去年のあの瞬間から、


そして世界は崩れゆく
(悔しいが不快な気分が無くなったのが何よりの証拠だ)
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